8月9日に「第145回労働政策審議会労働条件分科会」が開催されました。
そのなかで、新しい36協定の様式案が提示されています。わかりにくいので、直リンクを貼っておきましょう。
現様式からの変更点のポイントは、
- 「1日を超え3ヶ月未満の期間」が「1ヶ月」に固定されたこと。
- 「労働保険番号」「法人番号」の記載欄が追加されていること。
- 特別条項を記載する欄が設定された様式を用意していること
といったところでしょうか? この3つのポイントについて考えてみます。
「1日を超え3ヶ月未満の期間」が「1ヶ月」に固定されたこと。
現在は、たとえば「1週間」とか「3か月」など、業務の状況に応じた「延長することのできる時間」を設定している会社が多くあります。この様式案が採用されれば、「1か月」に固定されることになるので、業務の見直しが必要になるでしょう。
この様式はあくまでも(案)ですが、36協定においてさだめる事項として、
対象期間における1日、1か月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数
(平成30年基発0706第1号)
との通達があるので、おそらく「1日」「1か月」「1年」について協定するカタチに変更されるのでしょう。
「1か月」以外の期間で協定している会社は、早めに検討を始めたほうが良いと思います。
「労働保険番号」「法人番号」の記載欄が追加されていること。
法人番号というのは、マイナンバーの法人番号でしょうか?
今後、容易に「労働保険に加入して従業員を雇っているのに36協定の提出がない事業場」や「税金を払っているのに36協定の提出がない事業場」のリストが容易に可能になることが予想されます。
36協定を提出せずに法定労働時間(原則、1週40時間1日8時間)を超えて働かせることは、「災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等(労基法三十三条)」によるものを除いて「違法」になってしまいます。
きちんと手続きを行っておく必要がありますね(言うまでもないことですが・・・)。
特別条項を記載する欄が設定された様式を用意していること
現状、特別条項は、可能な限り小さな文字で「36協定の余白」に書いてある例もありますが、新様式(案)では、専用の枠が設けられています。
様式を「通常」と「特別条項付き」の2つにワケてあるのは、特別条項はあくまでも「特別な事情がある場合に限るんですよ」ということを明示する意図なのでしょうか。
同時に公開された「資料No.1 労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針案(イメージ)(PDF:92KB)」のなかで、「限度時間を超えて延長時間を定めるに当たっての留意事項 」について書かれているので、確認しておいた方が良いでしょう。
まとめ
コマゴマとしたポイントについて書いてきましたが、実務的にはこういったポイントについても早めにキチンと対策をとらないと、現場が混乱する事態になりかねません。
引き続き、情報収集に努めたいと思います。