面倒な作業がどう変わるのか?

これからWordのあまり使われていない・・・と思われる3つの機能(「アウトライン」「スタイル」「相互参照」)について、順番に説明していこうと思います。

が、まず最初に、この3つの機能を使ったら、就業規則の作成・改訂作業がどのように変わるのか、確認していただきましょう。

 

素材としてつかうのは、厚生労働省のホームページ「パートタイム労働者の雇用管理の改善のために」で紹介されている「パートタイム労働者就業規則の規定例(Word版)」です。

さっそくWordでひらいて、中身をのぞいてみます。

モデル就業規則(Word版)の中身は?

全体的に「8ポイント」という小さめの文字で作成してあります。その他の部分では、(目的)(定義)などの見出し文字は「MSゴシック」で、その他の本文などは「MS明朝」で作ってあります。

「アウトライン」「スタイル」「相互参照」などの機能は使われていません。「必要最小限の設定しかされていない状態」です。

なんだか、すごく素朴な感じですネ。

では、この「素朴な」Word文書に「アウトライン」「スタイル」「相互参照」を適用してみましょう。

スタイルを適用するにあたっては、同じく厚生労働省の「モデル就業規則」に似せる形で調整しました。

3つの機能を適用してみました

一番大きな違いは、左はしの「ナビゲーションウィンドウ」です。ここに、「第1章 総則」といった章の名前と「(目的)」といった条文の見出しが並んでいることに注目してください。
(厚生労働省のモデル就業規則では、ナビゲーションウインドウを開いても何も表示されません)

あとは、右側の就業規則本文の各行頭に黒い丸印「・」があることが気になるかも知れません。これは、アウトラインが設定されているコトを示しています。印字結果には表示されません。

で、結局どんなことができるの?

「アウトライン」「スタイル」「相互参照」の3つの機能が威力を発揮するのは、たとえば改訂作業です。

「アウトライン」を設定していれば、左側のナビゲーションウィンドウで見出しを「ドラッグ&ドロップ」するだけで、条文を入れ替えることができます。

上の例では、一番前に「服務」を移動させたあと、中身をかなり無意味に入れ替えました(第2条に年次有給休暇なんて持ってきていますね・・・)。

さらには、途中に「勤務間インターバル制度」なんて条文を追加したりしています。

現実的ではないほど中身をシャッフルしたわけです。ふつうだと、ここで結構なテマヒマをかけて全体の見直しをする必要が生じます。

けれども、この例では、Wordの機能により条文番号は、自動で振り直されました(厳密にいえば、第1条~第9条と第10条以降は別のスタイルを適用させているので、若干の作業が発生します)。

あと、気になるのは、条文番号を参照している箇所ですね。このパートタイム労働者用の就業規則には、「休暇等の賃金」という項目で、いろいろな条文を参照するようになっているのですが、「相互参照」の機能を利用すれば、ひとつひとつ確かめながら手作業で変更する必要がありません。

ご覧のように、参照条文が更新されています(年次有給休暇を第2条に変更したのでしたね)。

この更新作業は、「ctrl + A」で文章全体を選択したあと「F9」キーを押すだけで完了します(作業時間数秒程度)。

スタイルの変更も簡単です。たとえば、「第1章 服務規程」といった見出しをセンタリングしたい場合、たった1ヶ所訂正すれば、この就業規則にある12ヶ所に適用されて、各章のタイトルがセンタリングされます。

フォントを変更したり、行間を調整したりするのも同じような手順で完了です。

メリットは「メンテナンス」がしやすくなる効果!

以上、ザックリと「あまり使われていない3つの機能」の効果をみていただきました。

就業規則の作成時に「アウトライン」「スタイル」「相互参照」の3つの機能を利用するメリットは、「メンテナンスがしやすくなる」というのが一番大きいと思います。

もちろん、作成そのものも効率よくできます。たとえば条文数が100ある就業規則のそれぞれの条文に「インデント」「フォント」「ボールド」の指定をしようと思えば、単純に300ヶ所の設定がいるわけですが、スタイルを利用すれば1ヶ所設定して100ヶ所に適用するだけです(作業量は単純計算で1/3になるわけですが、一つ一つの作業が簡単になるので、効果はさらに大きいと思います)。

多くの会社では、ゼロから新しく作るのではなく、「いまある就業規則」を改訂していく作業をすることになるでしょうから、大きな変更がない場合、あたらしい機能の導入をおこなうことにはメリットを感じないかも知れません。

今現在、就業規則改訂にかかっている作業量、これからかかるであろう作業量などを見極めた上で、導入するかどうか決めてもいいと思います。

ただ、前回も書いたように、就業規則を一度作ったら数年程度は改訂しなくても良い・・・という状況ならともかく、しばらくの間は、少なくとも毎年改訂しなくてはならないかも知れない状況なので、やってソンはないと思いますけどね。

本日のまとめ

  1. 3つの機能「アウトライン」「スタイル」「相互参照」を使えば、就業規則作成のテマヒマだけでなく、改訂・メンテナンス作業が随分ラクになる。
  2. いまある就業規則に手を加えるという、「若干」の準備が必要
  3. 就業規則を改定する必要が、今までよりも増えることを考えれば、導入してもソンはないと思われる。